国鉄マンだった私の祖父が脱サラして札幌で2軒目となる写真店を営んでいた、という話をしたんです。
そうしたら、たまたま編集担当もカメラ好きだったので話が盛り上がったのが、連載を始める切っ掛け。
当時、私は藤子不二雄先生のような四畳半SF的なものを描きたかったこともあって、
ちょっとファンタジーっぽい作品になりました。
祖父の写真店は、実は私が5歳の時までしか営業していなかった。なのに、その時の記憶が強烈に焼き付いているんですね。
ただ、5歳の子どものイメージなので、祖父の持っているカメラがすごく大きなものだった印象があります。
今にして思えば、体が小さかったのでそのように見えたのだと思います。
主人公の写真店は京都にある設定です。
担当が京都好きだったこともあって取材に行ってみて創り込みました。
私の場合、舞台の設定をはっきりさせないと書けないんです。
このまんがは知っている土地ばかり描いたので、そういう意味でも思い出深い作品でした。
2話に出てくる鹿児島・与論島の百合ヶ浜という場所も私がよく行く場所で、大潮の時だけ現れる真っ白なビーチなんです。
とても良い場所なのですが、先日、あるテレビ番組で、世界の素敵なビーチ第1位として紹介されていて驚きました(笑)。
もうちょっと続けたかったけど、いろいろなことがあって4話しか描いていない。でも、個人的にはとても好きな作品です。
(魚戸おさむ)